BBCのJapan's Secret Shame(日本の秘められた恥)と伊藤詩織の問題

前回のブログの感想としてツイッターで「日本語でも書かれては?」とご意見をいただき、確かに日本人でもこの問題にあまり関心がない、あるいは情報を得ることが少ない方への日本語での発信も有益だと思い、今回は記事を日本語で書くことにしました。内容はほぼ同じですが、翻訳、特に直訳は苦手なので、多少語感などが異なる箇所があるかもしれないことを、あらかじめ断っておきたいと思います。

英国BBCが最近放送した、Japan's Secret Shame (日本の秘められた恥)というドキュメンタリーを観ました。興味がある方は、以下のリンクから当ドキュメンタリーを視聴してください。

http://www.pandora.tv/view/s9star/56160066#31220546_new
http://www.pandora.tv/view/s9star/56160067/#31220546_new

どうやら彼女を支援・応援する方は一定数いるようです。そういう方は完全に、盲目的に彼女の言い分を信じているように見えます。理由は伊藤氏が「名前・顔出し」で自身の経験を語っているから。それは彼女の正直さ、勇敢さ、また正義感の表れだ、と捉えられる、という。ただ、私はこれが彼女の言い分の信憑性や活動の正当性を担保するのに論理的だとは思いません。

背景

伊藤氏は2017年にワシントン駐在の有名な日本人ジャーナリストから性的暴行を受け、彼の逮捕は直前に「何かの力」によってもみ消された、と主張してメディアに登場しました。レイプをされたのは2015年で、伊藤氏によれば酒にデート・レイプ・ドラッグを混入され、意識がない状態で深夜にホテルに連れ込まれ、午前5時に目を覚ましたところ、レイプされている最中だった、ということです。事後に「下着をお土産として持っていっていいか?」「君のことが好きになった」など言われたそうです。伊藤氏は日本の警察を批判しました。それは「空港で男性を逮捕する」と捜査関係者から連絡を受けたにも関わらず、逮捕は直前になって取り消されたためです。伊藤氏の主張は、この男性が安倍総理に近い存在であったために、逮捕・起訴をもみ消された、というものでした。

その後

ただ、その後にわかった情報によれば、伊藤氏の主張には注意すべきだということがわかります。
二人はニューヨークの「ピアノ・バー」と呼ばれる性接待付きの飲食店で出会ったそうです。男性ジャーナリストは客として来店。伊藤氏は従業員で、彼が地位のあるジャーナリストだと知ると、仕事の斡旋・ジャーナリストビザの手配などについて相談を持ちかけました。その際、彼をバーに誘い、自ら酒を大量に飲み、介抱が必要な状態にまでなり、男性は伊藤氏の酔いを冷ますために二人でホテルへ向かうことを決断したようです。そこで男性が伊藤氏に送ったメールや警察へ提供した資料などによると、
  • 男性から押収されたパソコンなどの機材には、薬物の購入履歴はなかった。
  • 伊藤氏はホテルの部屋の2箇所に嘔吐し、その後トイレに駆け込みそこでも嘔吐した後、床に倒れ込み、吐瀉物にまみれていた。そのため、男性は伊藤氏の服をぬがせベッドに横たわらせたものの、髪についた吐瀉物の臭いに耐えきれず、別のベッドを使用して寝た。
  • 伊藤氏は就活中で、この男性にも履歴書を送っていた。ジャーナリストになるために、縁故採用を狙っていたものだと思われる。
  • 事後、伊藤氏は男性に介抱に対するお礼のメールを送り、引き続きビザの手続きなどの相談をしていた。ジャーナリスト・ビザの手続きには、雇用契約書や雇用者が発行したIDなどが必要で、伊藤氏は雇用ではなくビザについて相談していたことから、雇用は確実と思っていた可能性がある(断定できない)。
  • 記者会見では、2017年当時に国会で審議されて採択間近の(いわゆる)「テロ等準備罪法案」よりも性暴力被害者を支援する法案を優先して審議するべき、と主張。ただ伊藤氏の活動には日本共産党系列の政治家や活動家が関わっており、日本の公安調査庁によれば、日本共産党は監視対象の極左暴力集団であり、この法案の先にある国際的テロリズム対策への妨害に関与した、とも考えられる。
「日本の秘められた恥」の問題点

伊藤氏は、日本では女性が日常的に性被害を受けると主張しました。ここには問題点が多くあります。彼女の主張は、
  • 日本の女性は全て、特に高校生になって公共交通機関で通学するようになると、性暴力やハラスメントの被害にあう。
  • 教室では、毎日のようにどのような性的被害を受けたかを話し合うのが女子高生の日常。
  • 日本では性的な問題を公に話すことはタブーだとされ、そのため性被害を通報しないケースが非常に多い。これは、犯罪統計に反映されず、日本は安全な国という間違った認識につながっている。
  • ロンドンにすみ、ようやく言いたいことが言えるようになった。日本では声をあげたことでひどい批判にさられた。
私は日本で育ち、日本が安全な国だということを身をもって経験しています。日本では性被害にあったことは、私が16歳の時の一回だけ。早朝の通学途中に後ろから抱きつかれ、大声を上げると相手は逃げました。現在私が住む米国では、ほぼ日常的に男性からハラスメントを受けます。道でしつこく声をかけられたり、無視すると非常に汚い言葉で罵られ侮辱されたり、ニューヨークに住んでいた時は電車内で聞こえるように「こいつ、レイプしてやりたいな」とか言われたり。そのため、日が沈むと一人で外出することはなくなりました。身の安全を確保するためです。日本でこういった恒常的な不安は経験しませんでした。

私が問題だと思うことは、女性が自ら被害者を標榜する傾向があるということです。電車などでの痴漢冤罪事件では、女性は金のため、注目を集めたり同情を引くために、無罪の男性やその家族の人生を台無しにします。一度、痴漢として訴えられれば、法廷で無罪だと証明されても、男性は職や家族を失いかねません。普通に社会生活を営んできた男性は社会的に、そして個人として、甚大な被害を受けます。これまで積み上げてきたものを壊されるのですから。

伊藤氏は、日本社会が女性への尊敬の念や権利の保証などなく、経済的・技術的な発展にも関わらず、時代錯誤である、という印象を植え付けようとしています。私は自分の経験から、そして政治的な観点から、これに強く反対し、抗議します。

「被害者」をつくる目的

伊藤氏は活動家です。活動家は社会の変革の必要性を信じ、問題のないところにまで問題を作り上げます。そうして、政治的な目標を達成しないといけない、と信じています。それによって、不利益を被る人がいても、です。ニューヨークの極左系の大学院で学生として生活していた時、こう教えられました。「全てを問題化しなくてはいけない (Pyles, 2013)。たとえ、一見して問題だと思えなくても。普通の人は、不平等や社会的暴力が普通化された中で生活し、敏感さを失っている(被害者であることがわからず、被害者のままでいいと思っている、というニュアンス)。私たちが「弱い立場」の人たちを守らなくてはいけない」。

まさに横柄ですよね。他人にとって何がいいか、それは活動家が決めることではないです。求められてもいない援助を自己満足で周囲に与えることで、人々から力を奪っているのは彼らです。

なぜ伊藤氏は批判されているか

伊藤氏への批判は公にタブーを破ったことにたいしてではありません。「日本の秘められた恥」に、日本人の多くは怒りを覚えました。それは伊藤氏が、日本という国、日本人という民族全体の名誉を明確に毀損する主張を国内・海外で1年以上継続的にしているからです。先述の男性ジャーナリストは、自身のキャリアや家族関係を、「復讐(伊藤氏は結局ジャーナリストとしての職を得られず、その後彼への態度を急変させています)」のために台無しにされたと言えるでしょう。現に、彼のお父様は心労で倒れられています。2015年の時点で、逮捕・起訴をされなかった男性を強姦加害者として2017年に非難し、伊藤氏らによって提出された、男性の不逮捕・不起訴に関する不服申し立ては、11人の無作為に選ばれた有権者から成る検察審査会で、再度、不起訴が妥当だと結論づけられています。この11人は、警察に提出された証拠や資料などを検証し、事件性はないだろう、という結論に至ったのです。もちろん、この過程に政府の介入などあり得ません。


Reference
Pyles, L. (2013). Progressive community organizing: Reflective practice in a globalizing world (2nd ed.). New York: Routledge.

Popular Posts